ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第5番
第1楽章
これまで様々な素材を出して大きな曲を構成してきたのが、第5番では一転ミニマリストとなる。曲は怒りのような、銃声のようなハ短調の激しいテーマで始まる。

対照的におだやかな長調のテーマとなり対比が見事。

そのまま流れるようなテーマとなる。


展開部は長調で始まり、これまでのテーマが展開される。

再現部も、目新しいテーマを追加されることはなく、これまでのテーマが繰り返し用いられるが、微妙に変化が加えられていて、飽きさせない工夫が感じられる。

第2楽章
ソナタ第5番は、それまでと異なり3楽章構成となり、その後定番となる、第2楽章に緩徐楽章を置く3楽章構成がここで試されている。定番通り第1楽章が短調なのに対して、第2楽章は長調となっている。

第2主題も長調で、第1主題と非常に似たものが使用されている。


第1主題が繰り返される。

第1主題は同一の調で繰り返されたが、第2主題は調を変えている。ただし長調のままで、曲全体で長調へのこだわりが見られる。

第1主題再度繰り返される。伴奏部分が曲の終わりが近いことを感じさせる。そのまま靜かに終わる。

第3楽章
終楽章は、様々なダイナミックな変化が試されている印象的な傑作。リズム、速さの変化、音量の変化と全てが印象的な傑作。曲は最初はハ短調の不気味で靜かなテーマで始まる。

次第に音量を増して行き、左手の印象的なアクセントでクライマックスを迎える。

2つ目のテーマは対照的な変ホ長調だが、スタカート主体の雰囲気が残されている。

展開部。提示部と対照的に長調となる点は多くのソナタと同様だが、音型に変化が付けられており工夫が見られる。

展開部は非常に短かく、すぐに再現部となる。第1テーマが繰り返された後、第2テーマはト長調となる。このように第2テーマの調を最初と変えるやり方は、第2楽章でも見られた。

最後は、第1テーマを繰り返しなが消え入るように終わる。

楽譜引用はヘンレ版。