ベートーヴェン ピアノソナタ 第8番「悲愴」
第1楽章
有名な悲愴ソナタ。7番で4楽章制に回帰していたが、8番では3楽章制に戻っている。曲はGraveの序奏で始まる。この序奏は単なる序奏に留まらず曲全体で使われる。

序奏内でもテーマの展開は始まっている。長調の出だしと激しい短調の組み合わせは、葛藤を思わせる。

序奏が終わり、左手のトレモロの上に、最初のテーマが現れる。ここはpで音量を抑えていることが絶大な効果を上げている。

2つ目のテーマも、前半後半に分かれており、やはり何か葛藤を思わせる。

繰り返しの後、展開部に入る前に序奏が再度現れる。

展開部が始まり最初のテーマが展開される。

左手で不気味な音型が繰り返される。


ここでは最初の主題の後半部分が展開される。


再現部を経て、最後にもう一度序奏が現れた後に、最初のテーマが奏されて劇的に終わる。

第2楽章
第2楽章は、暖かな春の日差しを思わせるような優しい旋律を持ちいたロンド。ロンド形式は、これまでは速い楽章で用いられることが多かったので、これも新たな試みの1つなのだろう。

短調となるが、深刻な感じとはならずに引き続きのどかな雰囲気が続く。

最初のテーマが伴奏に少しアレンジが入って繰り返される。

再度短調となる。ここは次第に激しさを増していくが、深刻な感じはなく、通り雨が通り過ぎていったかのよう。

再度、最初のテーマ。やはり伴奏にアレンジが入っている。

経過句のような短かなパッセージが入って靜かに終わる。

第3楽章
第3楽章はロンド。初期の頃に何度も試みられていた様々なテーマを出現させる構成が結実している。この曲はまた緩急を効果的に使うことに成功している。
曲は何かに追い立てられるような旋律で始まる。


スケール主体の最初の主題と異なり、アルペジオ主体の主題。

再びスケール主体のものが現れる。

対照的なゆったりとした和音で構成される長調となる。

そしてスケール主体な印象的なクライマックス。

ここも対照的なゆったりとした雰囲気となる。

ここは、最初のテーマの一部が展開される。

最後に、曲の終わりを感じさせるテーマが2つ現れて展開される


最後の最後にゆっくりとしたテーマが現れる印象的に終わる。

楽譜引用はヘンレ版