ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第9番
第1楽章
この曲も初期の曲らしく、経過句のような簡単なテーマが次々と登場する。

このテーマも、とても単純だ。

続くテーマ

ここは、左手で最初のテーマの変形が奏される上に、右手に直前のテーマが重ねられる。

3連符になるが、直前のテーマの繰り返し。

展開部は、最初のテーマが短調で奏されるが、すぐに終わって新しいテーマが現れる。

展開部最後は左手で最初のテーマが奏されるものの、あまり展開部な感じはなく、ほとんどが新しいテーマとその展開に終始する。

再現部は左手に変化が加えられている。

ひととおり再現されたあと、最後は最初のテーマが少しずつ靜かに沈んでいって終わる。

第2楽章
第2楽章は民謡のようなテーマを用いた複合三部形式。最初の主題は物憂げな、あるいは何やら靄のかかったような、すっきりとしない雰囲気。

そのまま最初のテーマが展開される。

ここは、最初のテーマの一部の反転型だろうか。

中間部は暖かな、安堵を思わせるテーマ。しかしやはり何か霞がかかったような、夢の中のような、ぼやっとした風景を感じさせる。実は、ここで既に幻想風ソナタの萌芽が生まれていたのかもしれない。

Codaは中間部のテーマが繰り返されて、霞の中に消えていくように靜かに終わる。

第3楽章
即興的なロンド。単純なテーマが繰り返し用いられる。


雰囲気が変わってゆっくりとしたテーマが現れる。


ロンドとなっているが、多分にソナタ的で展開部は、このテーマが主に展開される。

再現部の最後に、最初のテーマが変化を伴って現れる。

楽譜引用はヘンレ版から。