ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第17番

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第1楽章

有名な「テンペスト・ソナタ」。テンポの変化、リズムの変化の自由さ、そして独特の緊張感が印象的なソナタ。 前半のアルペジオが「静」なら、2つの八分音符がスラーでつながれた音型は大きな緊張を伴った「動」でその対照が見事。

左手の力強いアルペジオで始まり、右手が不安なテーマが答える。この受け答えのパターンは、第8番ソナタの第1楽章に似ている。

ここも2つの八分音符がスラーでつながれた音型が用いられて大きな緊張感を作りだしている。

これらの音型は新しいものだが、やはり独特の緊張感、焦燥を生み出している。

展開部。最初のテーマが長調で展開される。

そして2つ目のテーマが展開される。通例なら対照的な穏かな曲調の展開が予想されるところだが、この楽章全体を通じて緊張感が解かれることはない。

再現部に入る。

と、突如全く新しい音型が即興的にアレグロで始まるが、すぐに元のテーマに戻る。

最後は静かなアルペジオで消えるように終わる。

第2楽章

第2楽章もアルペジオで始まる。複符点音符が特徴的な雨上がりのような明いテーマで始まる。

この3連符は楽章を通じて繰り返し使われる。

この楽章は大きな展開はなく、明いテーマが繰り返し変化を伴って繰り返されて、のんびりとした雰囲気で静かに終わる。

第3楽章

第3楽章は、何かに追い立てられるかのような旋律が、徹底的に展開される。最初のテーマは右手に対して左手が呼応する音型で構成される。

単純なアルペジオだが長調で入ることで絶大な効果を上げている。

このF-Eの音型は最初のテーマと並んで、曲全体で重要な役割を果たしている。

ここも単純な音型だが印象的だ。

展開部は、最初のテーマが徹底的に展開される。

再現部。

再現部の後に、若干の続きがある。長調となったり短調となったりと不安な緊張感を与える。

霧の中に消え入るよう。

再度最初のテーマが変化を伴って現れる。

最初のテーマが最後を告げて、消えいるように終わる。

楽譜の引用はヘンレ版から。